北村アキ 医師会員

日本ライフスタイル医学会

会員インタビュー

北村アキ 先生

あき循環器心臓リハビリクリニック 院長(兵庫県)

LM と出会ったきっかけ、また何故 LM が大切だと考えましたか?

心リハは心理も3本柱のひとつとして含まれていますので、心リハを追求しようとする過程で特別意識したわけではありません。以前は運動生理の勉強をしてきましたが、次のステップに進む中で心理に関わろうと思いました。

ハワイの心リハ仲間からOrnish programについて教えてもらい、実際にハワイのOrnish programの施設にも見学に度々行くようになりましたが、そこでlifestyle modification programの実際を目の当たりにし、さらにその重要性、日本での必要性を意識するようになりました。psychocardiologyを勉強する方法として、USの大学院に行くことや病院の精神科で学ぶことも考え道を模索しておりましたが、自分にピッタリ合ったものが見つかりませんでした。そんな時、USでリハ医をしている友人がHarvard、BHIのSMART programを教えてくれたのと、同僚を紹介してくださりその方がAmerican College of Lifestyle Medicine (ACLM)の会員だったので、それを機にACLMと出会い、学会や会員との交流を通じてより知るようになりました。

LM を推奨する中で、Challenge がありましたら教えてください。

このchallengeは今も進行中ですが、西洋医学では薬物療法、外科治療などが主流ですので、認知度を上げること、特に同業者にその重要性を理解して頂くことに苦労しています。また患者様も「すぐに結果が出る方法」「苦労せずに結果が出る方法」として安易な内服治療を希望される方の方がよっぽど多いので、治療方針の病状説明だけでも何倍も骨が折れますし、治療過程でなかなか結果が出ずに不満の声が聞かれることもあります。

LM の6つのテーマ(運動、食事、ストレス、禁煙アルコール減、睡眠、コミュニティ)の中で、自分で強いと思う分野、また弱いと思う分野を教えてください。また ご自分で弱いと思う分野は、どのように勉強しているか教えてください。

最も強い専門は運動、ストレスです。禁煙アルコール減に関しては昨年クリニックを開院するまで直接関わることはなかったので、診療を通して勉強中です。

LM が日本に浸透した時に、どのようなメリットがあるのか、実現した時の未来像をお聞かせください。

LMが日本で浸透した時、その功績は計り知れないものがあると思います。欧米の方がwellnessという概念が強いと言われますが、超高齢社会、長寿大国の日本こそ「元気に長生き」を求めている人は実はずっと多いと思います。心臓外科医をしていたからこそ感じることでもありますが、手術手技だけでは治せないもの、解決しないものはたくさんあります。また、医療者から患者側に一方的に治療を提供するのではなく、患者様ご自身が病、身体と向き合い自分の主治医になることが求められていると思います。結果的にはそれが医療費削減にもつながると思われます。そのためには「なんとなく良さそうなもの」を提供するのではなく、エビデンスに基づいた治療としてのサービスを提供すること、結果を出していくことが重要であると思います。10年後には多職種のmedical professionalで形成されたチームが運営するウェルネスセンターのようなものがいろんな場所にあって、さらに保険診療で予防医学が行えるようなシステムができあがっているといいなあと思います。

SHARE
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Japanese Society of Lifestyle Medicine (JSLM) は、⽶国の学会に集まった⽇本のNCDの改善に関⼼のある医療従 事者により2015年より準備が始まり、2017年に組織されました。JSLMは 医師、公衆衛⽣専⾨家、医療リサーチャー、医療政策に関わる専⾨家、医 療教育者、看護師、栄養⼠、ソーシャルワーカー、理学療法⼠、臨床⼼理 ⼠、ヘルスコーチ、⻭科医、薬剤師等、幅広い分野の専⾨家で組織されています。

目次